建設業許可と産業廃棄物収集運搬許可

建設業許可と産業廃棄物収集運搬許可の切っても切れない関係
建設業界で事業を進めていく中で、多くの経営者が最初に取得を検討する許可が「建設業許可」です。
工事金額が500万円(税込)以上の工事を受注する場合、建設業許可が必要になります。
しかし実際の業務内容や取引先との関係を深めていくと、もう一つ避けて通れない許可が存在します。
それが「産業廃棄物収集運搬許可」です。
建設現場では、解体工事や改修工事はもちろん、新築工事でも木くず・ガラ・廃石膏ボード・コンクリート片などの産業廃棄物が発生します。
本来、発生した廃棄物は排出事業者である元請や施主が適正処理義務を負っています。
しかし実務では、下請業者や工事を請け負った事業者が産廃搬出まで行うケースが多いのではないでしょうか。
「廃棄物を自社トラックで運ぶ」場面は日常的です。
ここで問題となるのが、産業廃棄物収集運搬許可がない企業が、現場から廃棄物置場や中間処理施設まで廃棄物を運搬する行為は違法になるという点です。建設業許可があるからといって産廃の運搬ができるわけではなく、両者は全く別の法制度に基づく許可であるため、両方が必要になるケースは非常に多いのです。
■建設業許可だけでは不十分な理由
建設業許可はあくまで「建設工事を請け負うための許可」です。
一方、産業廃棄物収集運搬許可は「産業廃棄物を運ぶ行為そのものに対する許可」。
つまり目的も管轄法令もまったく異なります。
特に建設企業がトラブルになりやすいのは次の場面です。
•解体現場で排出された廃棄物を自社ダンプで搬出する
•リフォーム工事で出た残材を置場へ運ぶ
•元請から処分まで任されたため搬出した
いずれも、産業廃棄物を「運搬」する行為に該当し、許可を持っていなければ違法となります。
行政処分のほか、元請企業からの指名停止・安全協議会の退会・取引停止などのリスクも存在し、
結果として企業経営に致命傷となることもあります。
■許可取得による大きなメリット
産業廃棄物収集運搬許可を取得することで、建設業者には大きなメリットが生まれます。
1.元請・取引先からの信頼度向上
2.一括対応ができるため業務効率アップ
3.新たな売上の柱として「運搬業務」が受注可能
4.法令遵守企業として評価され入札も有利
特に近年はコンプライアンス意識の高まりから、元請側が「許可の有無」を厳しくチェックするようになっています。
許可を取得しているかどうかで現場の受注可否が変わる時代になっていると言っても過言ではありません。
産廃収集運搬許可は都道府県ごとに取得が必要であり、「積替え保管」を含む場合は申請内容も大きく変わります。
建設業許可と異なり、取得と更新の難易度・必要書類の量ともに高いため、専門家のサポートを活用することで時間と負担を大幅に削減できます。
■まとめ
建設業許可と産業廃棄物収集運搬許可は別の許可ですが、建設業を営むうえで実務的には切っても切れない関係にあります。
特に、廃棄物を運搬する可能性のある企業にとっては、両方の許可を取得しておくことで、法令違反のリスクを回避しつつ、事業の幅を大きく広げることができます。
「許可を取っておけば安心」ではなく、
許可を取ることで選ばれる建設企業へ。
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